最近では当たり前になっていますが、家庭や事業所で出たごみは分類され種類ごとに処分されています。これはゴミの中にもリサイクルして再利用できるものから出来ないものを仕分けることで、効率よく資源を利用することが挙げられます。ほかにも粗大ごみや環境に影響を与えるごみなどは、処分のためにコストがかかることから仕分けるようになっています。例えば古い冷蔵庫やクーラーなどの家電ゴミには、庫内の冷却のためにフロンガスが利用されていました。このフロンガスは人体には影響は与えないものの、人体や生物に有害な紫外線が届かないようにするオゾン層を破壊するため環境的に問題があります。
このため大気中にフロンガスが出ないよう専門的な処分方法が必要なためコストがかかるのです。一方で家電ゴミの中にも資源となるものが多く含まれています。例えば携帯電話やスマートフォン、パソコンなどの基盤には銅や金などの貴金属が微量に含まれています。日本では都市鉱山とも呼ばれていますが、適切に処理すれば資源の再利用をすることが可能です。それではこれらの家電製品を例に、回収から回収後の流れについて説明していきましょう。まず前提としてパソコンや携帯電話の多くには、個人のプライベートな情報が含まれていることが多いです。
このためもし、リサイクル業者に頼む場合は「プライベートな情報を物理的に消去してくれているか」を確認することが重要です。一般的には、パソコンを初期化しデータを削除するソフトウェアをインストールし起動させることで完全に削除が可能となります。またスマートフォンや携帯電話ではソフト面での消去に加えて、物理面での対応も行うことがあります。パソコンと比べてスマートフォンはより多くの個人情報が含まれていることが多いため、利用者の目の前で破壊することでより安心感を与えてくれます。
このように適切な処置をされた家電製品は、次にリサイクル工場に回されます。家電製品には基盤だけではなく周りを覆うプラスチックもありますので、まずは部品ごとに分別していきます。そして貴金属となるものについては様々な工程で分類されていきます。例えば金を抽出する場合は、王水と呼ばれる溶液を利用します。王水は塩酸と硫酸の混合物で金属のみを溶かします。このためこの工程で基盤のプラスチックと金属が分類されます。金は王水には解けますがそれ以外の酸には解けないため、還元剤を入れると真っ先に金が沈殿します。この沈殿物をろ過・乾燥・生成することで金が抽出されるのです。